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天神堂遺跡は甲州市勝沼町下岩崎に所在する遺跡で、介護施設の建設に伴い発掘調査が実施された。縄文、古墳前期、奈良、平安、近世の複合遺跡で、縄文時代では早・前期から中期後葉まで検出されている。27号土坑は直径1.1mの円形土坑で、内部から2個体の深鉢が出土しており、そのうちの1個体が蛇体突起付深鉢である。
口径17.7cm、底径12.2cm、高さ43.2cm、胴上半と下半で折れるようにして出土し、一部破片が不足するものの本来は完形品として置かれたものと思われる。
胴部は強く括れ、底部はソロバン玉状に強く屈曲し、口縁部は強く屈曲内湾する。口縁部には大小2個の造形があり、大きい方は高さ16.5cmの蛇体突起で右向きの獣、大きなみみずく把手をベースにして複雑な造形物が直立する。正面・内面には蛇体文、S字文、渦巻文、みみずく把手、環などが複雑に合成し、内面は空洞となっている。小さい方は頭部を内側に臀部を外側に貼付した動物あるいは人物的な造形で、箱状のベースの上にカエルのような爬虫類的な頭部が載り、両足をM字に広げて無文口縁部の屈曲部に張り付いている。