-1-768x1024.jpg)

天神堂遺跡は甲州市勝沼町下岩崎に所在する遺跡で、介護施設の建設に伴い発掘調査が実施された。縄文、古墳前期、奈良、平安、近世の複合遺跡で、縄文時代では早・前期から中期後葉まで検出されている。27号土坑は直径1.1mの円形土坑で、内部から2個体の深鉢が出土しており、そのうちの1個体が記号文を有する深鉢で、蛇体突起付深鉢と共伴している。
口径18.5cm、底径9.6cm、高さ31.7cm、土坑内から横位で出土した。完形品。
胴部の括れは緩く、胴下半の形態は球状で、口縁部の内湾度も緩い。口縁には山形突起が4つあり、突起の根本にはそれぞれ渦巻文が付き、器面がコ状に4分割される。口縁部の湾曲部には突起間を上から見て半周分だけつなぐように押圧連続文(鎖状隆帯)が巡る。コ状区画にはキャタピラ文の脇に連続三角押引き文が沿う。胴部のコ状区画の中心には記号文がそれぞれ1つずつ付くが、1区画のみ記号文を施文しないので、計3個の文様が存在している。
記号文は三角押引き文によるフォーク状の文様で、全く同一ではなく、微妙に異なっている。胴部下半は櫛歯文が4つ連続した文様帯となる。